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非居住者に対する公社債が償還された場合の消費税法上の取扱い

2025年03月05日

経営財務部

こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。

今回は消費税の申告において見落としがちな論点として、非居住者が発行した公社債が
償還された場合の取扱いをご紹介したいと思います。

【国内取引の判定と非課税判定】
まず、公社債の取得等が国内取引に該当するかの判定は、その公社債の取得等に係る事務所等の所在地が
国内にあるかどうかにより判定することとなります。

実務上、内国法人がわざわざ国外事業所等で取得取引を行うことは希だと思いますので、
国内取引に該当するケースがほとんどだと思います。

次に消費税の課非判定ですが、公社債の取得は「利子を対価とする金銭の貸付け」に該当するため
非課税取引に該当します。

ここまでは消費税法の基本的な論点だと思いますが、非居住者が発行した公社債に関しては
もう一点検討すべき点があります。


【非課税資産の輸出取引等】
仕入税額控除の計算において、国内における非課税資産の譲渡等のうち輸出取引等に該当するものは、
課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとして仕入に係る消費税額を計算することとする
特例があります。

これが「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入に係る消費税額の控除の特例」という規定で、
その概要と趣旨については過去のブログでご紹介済みですのでご参考ください。
https://www.kubotax.com/blog/2021/12/post-916.html

そして、非課税資産の輸出取引等には"利子を対価とする金銭の貸付けその他これに類するもののうち、
債務者が非居住者であるもの"が含まれており、非居住者が発行した公社債がこれに該当することに
なります。

よって、非居住者に対する公社債の対価(償還差益)は課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に
該当するものとみなして仕入税額控除を計算しなければなりません。

具体的には、償還差益を課税売上割合の分母と分子の両方に含めて計算する必要があります。

この論点を見落とすと課税売上割合が正しい割合より低くなってしまい、
納税額が過大になってしまう可能性があるため注意が必要です。

【最後に】
非課税資産の輸出取引等は頻繁に行われる取引ではないため見落としが起こりがちな論点ですが、
その中でも公社債の償還は"輸出取引"というイメージがないため特に注意が必要だと思い、
今回のテーマに挙げさせていただきました。

この記事が皆様の申告業務の一助になれば幸いです。





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