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有料老人ホームなどで提供される食事が軽減税率の対象となる金額基準の改定について

2024年06月19日

経営財務部

こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。

今回は少しマイナーな論点ですが、有料老人ホームなどで提供される食事代のうち、
軽減税率の対象になるものの金額基準が改定された件についてご案内させていただきます。


ご存知の方も多いかと思いますが、飲食店での食事の提供や、相手方が指定した場所で行われる
加熱・調理・給仕等のサービスを伴う食事の提供は、原則として軽減税率の適用対象から
除外されています。

しかし、例外的に人が生活を営む場所となる一定の場所で提供される食事については、
一定の金額基準を設けた上で軽減税率の対象となることとされています。

具体的には有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅で提供される食事や、学校、幼稚園で
提供される給食がこれに該当し、1食につき640円以下(基準額)かつ1日の累計額が
1,920円に達するまで(限度額)が軽減税率の対象となっていました。

今回、この金額基準に若干の変更が加わり、令和6年6月以後に提供する食事については
1食あたりの基準額が670円以下、1日の累計額(限度額)が2,010円以下となります。

改正の経緯はおそらく厚生労働省が告示している入院時食事療養費の額が改定されたことによるものと
思われます。

従来の基準額である640円は入院時食事療養費に合わせて設定されていたものであり、
これが670円に改定されたことで軽減税率の基準額もそれに合わせて引き上げられたものと
思われます。(限度額は基準額の3倍となるよう定められています)

基準額の考え方はとてもシンプルですが、限度額については少し注意が必要です。
具体例をあげてご説明したいと思います。

例えば朝食600円、昼食600円、おやつ300円、夕食600円であったと仮定します。
まずは基準額ですが、各食の金額は基準額670円以下ですので基準を満たしています。

次に限度額ですが、朝食、昼食、おやつまでを累計すると

【600円+600円+300円=1,500円≦2,010円】

となり軽減税率の対象となります。

しかし、夕食を含めると

【600円+600円+300円+600円=2,100円>2,010円】

となるため、夕食600円は全額が軽減税率の対象外となります。

夕食代600円を標準税率と軽減税率に分けるのではないという点が注意ポイントです。

なお、予め入居者の方との間で、軽減税率の対象とする食事を朝食、昼食、夕食に限定することを
明らかにしている場合には計算方法がまた異なります。

この場合は朝食、昼食、夕食のみで累計額を計算するため、

【600円+600円+600円=1,800円≦2,010円】

となり全てが軽減税率の対象となります。

ただし、おやつ代300円は金額に関わらず軽減税率の対象外となります。

今回の改正論点は非常に細かい内容ですので、現場でついつい見過ごされるケースが頻発するのではと
心配しています。

6月の食事に関する請求から改定が反映されることになりますので、もしまだ対応がお済みでない場合は
急ぎご検討いただきますようお願いします。

もし何かご不明な点があれば是非お気軽に久保田会計事務所までお声かけ下さい。




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