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会員向けセミナーの参加費に係る適格請求書の交付方法について

2024年02月14日

経営財務部

こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。

適格請求書保存方式(インボイス制度)が導入され5ヶ月がたとうとしていますが、
まだまだ保存の書類に迷う所も多いかと思います。

そんな中、適格請求書についてよくある質問として国税庁のFAQに新しく追加されている、
会員向けセミナーの参加費に係る適格請求書の交付方法についてご紹介いたします。

ある協会は所属する会員向けに外部から講師を呼んでセミナーを開催しています。

講師への支払はまとめて協会がおこないますが、一定割合を協会で負担することとした上で、残りを
セミナー参加者で按分して参加費として受領する場合、参加者に対してどのように適格請求書を
交付すればよいのでしょうか。

1.セミナーの参加費が協会の課税売上となる場合

(協会側)
協会が参加者に対しセミナーという役務の提供をおこなったものとして、
受領したセミナーの参加料を課税売上げ、講師への支払を課税仕入とします。

(参加者側)
セミナーの参加に当たって負担した金額がセミナーという役務提供の対価であるとして、
参加費を課税仕入れとします。
そのため、協会側は参加者から代金を受領する際には、「簡易インボイス」の記載事項を満たした
領収書等の交付を行う事が考えられます。

そもそも簡易インボイスを発行できる事業者については、不特定多数と取引を行う小売業など
特定の事業を行う者に限られますが、上記の場合、参加者が協会の会員に限られ、
一定の対象者に対して取引を行うものではありますが、相手方を特定したうえで開催されるもの
ではなく、また、対象者も多数にのぼるものであることから、簡易インボイスの交付を行う事業に
該当する事になり、簡易インボイスの交付を行う事が可能になります。


2.セミナーの参加費が預り金として処理される場合

(協会側)
協会と会員の間での契約などにより、セミナー参加にあたって負担する金額が、講演料の一部負担金
(立替払)である事が明らかであり、かつ、講演料の総額を超える対価を受領することがないなどの
場合には、協会において預り金として処理することも認められるものと考えられます。

(参加者側)
講演を受けるという役務提供の対価として、セミナー受講料を課税仕入れとします。
この場合参加者側が仕入税額控除の適用を受けるには、協会から交付を受けた「講演料に掛かる
適格請求書のコピー」及び「立替精算書」の保存が必要です。

さらに、適格請求書のコピーが大量となるなどの事情により協会側がコピーを交付することが
困難なときは、協会が適格請求書を保存しておくことで、参加者は協会から交付を受けた
立替金精算書のみの保存をもって、仕入税額控除の適用を受ける事が可能です。

この場合の立替精算書の記載事項は以下のようなものとなります。

・開催日
・取引内容(○○様 講演料)
・参加費用
・税率(もしくは税額)
・この立替精算書の保存をもって仕入税額控除の適用が可能である事を示す文言

参加者が仕入税額控除の適用を受けるにあたり、売手である適格請求書発行事業者の氏名
または名称を帳簿に記載する必要があることから、講師の氏名を表示します。

上記の場合の立替精算書については、適格請求書の交付対象(講演料)に係るものであるため、
本来は適格請求書の記載事項が必要になりますが、簡易インボイスの交付が可能な事業における
立替精算書については、適格請求書が協会において保存されることをもって、記載事項を
省略することとして差し支えないとのことです。

なお、この場合の立替精算書による対応は協会が適格請求書発行事業者であるかどうかは
問いませんが、協会・講師の両者が適格請求書発行事業者である場合は、媒介者特例を適用し、
協会の名称及び登録番号を記載して、簡易インボイスを交付することも可能です。

いかがでしたでしょうか。
協会側の処理によって交付する書類にも違いが出ることになりますし、参加者側でも仕入税額控除を
適用するために保存する書類が変わることとなります。

参加者が処理に困らない様に、協会側は分かりやすく明示する事はもちろんのこと、参加者も
セミナーの受領書を受け取る際は受け取った書類が仕入税額控除を適用するのに適したものかの
確認が必要になるかと思います。



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