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経営者の個人保証が2023年4月から見直しへ
2023年03月08日
こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
2023年4月から「経営者保証」の仕組みが見直され、金融機関が保証人を求める場合は、
その理由などについて説明することが義務づけられます。
今回は、その見直しの内容についてご案内させていただきます。
中小企業向けの融資において、経営者(社長)が個人保証を行うのが「経営者保証」で、
戦後の高度経済成長期に広がった慣行です。
経営者保証を付けて融資を受けた場合、万が一経営に行き詰まり返済が滞ると、
経営者(社長)が会社に代わって借入金を返済することになります。
この制度のメリットは、貸倒のリスクを取る金融機関が安心して融資できるところにあります。
また経営者にとっても、個人保証により融資のハードルを下げられるのが利点です。
一方で、低成長時代の経済環境下では以下のようなデメリットが指摘されています。
①会社が倒産した場合、経営者自らも自己破産に追い込まれることが多く、
「再チャレンジ」に支障を来す。
②個人保証の存在が、リスクを伴う新規事業への投資を躊躇させる要因になっている。
③事業の実績のない起業家にとっては、さらに融資の条件は厳しく、
政府が経済政策の柱に位置付ける起業家の促進にマイナスとなる。
④経営者の高齢化に伴って顕在化している事業承継においても、
経営者保証の引継ぎの観点から、大きな障害となっています。
そこで、2014年に「経営者保証のガイドライン」が作成され、2月よりその適用が始まりました。
ガイドラインの概要は、
①資産の所有や金銭のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている。
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で借入金返済が可能である。
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている。
の3つの要件の全て、または一部を満たした場合、
金融機関は要件の充足度合いに応じて、経営者保証を求めないことや、
保証機能の代替手法の活用を検討する、というものです。
これは、「中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられ、
法的な拘束力はないものの、関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待される、
という性格のもので、経営者保証を解除するかどうかの最終判断は、金融機関に委ねられています。
このガイドラインにより、経営者保証に依存しない融資が増加傾向になったことは確かですが、
前述の通り経営者保証制度が抱える問題の根本的な解決には至っていません。
今回の見直しは、さらに金融機関に対する「縛り」を強化して、
経営者保証からの脱却を意図したものとなっています。
金融庁によれば、金融機関が事業資金の融資の際に個人保証を求める場合には、
①どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容
②どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容
(上記個別具体の内容についても発表されていますが、
紙面の関係上ここでは割愛させて頂きますので、弊所にお問い合わせ下さい。)
について、経営者側に具体的に説明することが義務づけられています。
加えて、金融機関は、保証人に対する説明内容を記録して残さなければなりません。
今回の見直しで「融資が受けやすくなった」わけではなく、金融機関に、個人保証に頼らず、
事業のビジネスモデルや将来性を評価した融資を促すのが狙いであり、
将来性のあるビジネスに対しては、保証人なしの融資が広がる可能性があります。
希望する融資を受ける、或いは、保証契約の変更・解除を求める場合には、
説得力のある事業計画をはじめ、金融機関を説得させる材料が不可欠で、
その基本は変わりません。
必要に応じて専門家の手も借りながら、万全の準備をする必要があります。
弊所においても対応は可能ですので、経営者保証なしの新規融資を受けたい、或いは、
保証契約の変更・解除を求めたい、という事業者の方はお気軽にご相談下さい。
税理士法人 久保田会計事務所では、法人税や所得税等の税務申告だけでなく
相続対策や事業承継のお手伝いや経営コンサルティングを通してお客様の継続と発展を支援致します。
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