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学資金の非課税と、日本学生支援機構の奨学金代理返還制度を利用した場合の取扱いについて
2023年01月18日
こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
今回は、日本学生支援機構の奨学金代理返還を行った場合に、
その返還分について給与所得としての課税がされるのかについてご紹介したいと思います。
【学資金の非課税について】
所得税法では、非課税となる所得が限定的に定められており、
その一つに「学資に充てるため給付される金品」があります。
例えば、法人や個人事業主が、使用人に対して次の要件を満たして
学資に充てるための費用を支出した場合には非課税として取り扱われることとなります。
(1)通常の給与に加算して支給する費用であること。
(2)次の①から④までのいずれにも該当しない費用であること
①役員の学資に充てるため支給する費用
②役員や使用人と特別の関係がある者の学資に充てるため支給する費用
③個人事業者の親族の学資に充てるため支給する費用
④個人事業者の使用人と特別の関係がある者の学資に充てるため支給する費用
【日本学生支援機構の奨学金代理返還制度】
日本学生支援機構では学生に対して奨学金を貸与する制度が設けられており、
この制度を利用した学生は将来においてその返還義務を負うこととなります。
そして、最近多くの企業で広まっているのが、
学生時代に奨学金の貸与を受けていた使用人に対して、
その返還を代理するという取り組みです。
従来は、奨学金の返還は必ず貸与を受けた者(使用人)を通じて行わなければなりませんでしたが、
2021年4月からは企業が日本学生支援機構に直接返還を行うことも可能となりました。
では、このように企業が使用人の奨学金を代理返済した場合、
前述した学資金の非課税は適用されるでしょうか。
結論は、上記(1)(2)の要件を満たす限りは非課税として扱われます。
なお、特に注意すべき点は(1)です。通常の給与を減額して学資金を支給した場合には、
その学資金は実質的に給与としての性質を持つため非課税とはならないのでご注意下さい。
また、返還分を給与に上乗せして従業員に支払い、従業員を通じて返還を行う場合には、
その返還分が確実に奨学金の返還に充てられたことを証明できるようにしておくことも必要です。
【最後に】
従業員に対するインセンティブの支給形態は多様化しており、
課税の対象になるか否かはその都度慎重な判断が求められます。
今回は日本学生支援機構からの奨学金代理返済についてご紹介しましたが、
その他の団体からの奨学金代理返済に関しては取扱いが異なる可能性がございますのでご注意下さい。
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