KUBOTAX BLOG
- HOME
- KUBOTAX BLOG
- インボイス制度における古物商の特例について
インボイス制度における古物商の特例について
2022年09月07日
こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
今回はインボイス制度における古物商の特例についてご紹介いたします。
インボイス制度の開始時期が近づく中、
お客様とのお話しの中でも具体的な質問が出てくるようになりました。
そもそもインボイス制度とは、適格請求書と呼ばれる請求書を保存しておかないと、
消費税を申告する際の計算時に支払った消費税を受け取った消費税から
引く事ができない(仕入税額控除)という制度ですが、その中にいくつか例外があります。
そのうちの1つが古物商の特例で、請求書等の交付を受ける事が困難で有る場合に
一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められると言うものです。
国税庁インボイスのQ&A 問88にも
"古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入"
が認められるとあります。
そもそも古物とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、
郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、
大型機械類で政令で定めるものを除く。以下同じ。)
若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又は
これらの物品に幾分の手入れをしたものをいいます。(古物営業法第2条より一部抜粋)
ここからは許可を得て古物商を営んでいることを前提にお話をしていきます。
まず、古物商を営む場合、古物営業法において商品を仕入れた際の対価の総額が
税込1万円以上の場合には古物台帳に以下の事項を記載保存しなければならないとされています。
・取引年月日
・古物の品目及び数量
・古物の特徴
・相手方の住所、氏名、職業及び年齢
・相手方の確認方法
また、この特例を適用するためには以下の要件を全て満たしている必要があります。
・古物商であること
・適格請求書発行事業者でない者から仕入れた古物であること
・仕入れた古物が当該古物商にとって棚卸資産(消耗品を除く)であること
・一定の事項が記載された帳簿を保存すること
そして、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は
以下の通りになります。
①課税仕入れの相手方の氏名または名称及び住所又は所在地
②課税仕入れを行った年月日
③課税仕入れに係る資産又は役務の内容
④課税仕入れに係る支払対価の額
⑤帳簿のみの保存で仕入れ税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
(古物商の場合、上記国税庁Q&Aにありました
「古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入である」旨)
すなわち、古物台帳に記載事項①~④が記載されている事になりますので、
⑤の事項について記載した帳簿(総勘定元帳)を合わせて保存する事で、
帳簿保存の要件を満たすことができます。
こちらの特例を使用する場合、古物台帳についても帳簿の保存期間が申告期限から
7年間となっていますのでご注意下さい。
オークション等個人から仕入れた場合も同様にこちらの特例が適用されますが、
適用要件にも「相手方が適格事業者でないこと」とありますように、
相手方が適格請求書発行事業者でないことを客観的に明らかにしておく必要がありますので、
買い取りの際に記入頂く書類等にチェック欄を設けるなど
事業の実態に応じた方法を検討する必要がありそうです。
最後になりましたが、以下注意点としてあげておきます。
・適格請求書発行事業者からの仕入れについては制度通り適格請求書の保存が必要
・会社で使用するために購入した古物に関しては、こちらの特例は適用されない
いかがでしたでしょうか。
今回はインボイス制度における古物商の特例についてお話しましたが、
話題の頻度もあがってきていますのでご自身の事業の場合を考えて
対応を考えていただければと思います。
税理士法人 久保田会計事務所では法人税や所得税等の税務申告だけでなく
相続対策や事業承継のお手伝いや経営コンサルティングを通してお客様の継続と発展を支援致します。
京都で50年間積み重ねた経験が、きっと皆様のお役に立つものと信じております。
地下鉄丸太町駅より徒歩1分、税理士法人 久保田会計事務所に何でも御相談下さい。
お待ちしております。
平日 9:00 ~ 17:30