KUBOTAX BLOG
- HOME
- KUBOTAX BLOG
- 助成金等の収益計上時期の取り扱いついて
助成金等の収益計上時期の取り扱いついて
2021年06月16日
こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
緊急事態宣言が6/20まで延長され、
事業者の皆様におかれましては今暫く我慢を強いられることになると思われます。
政府より、経済支援や企業の資金繰りの支援等が行われておりますが、
今回は交付を受けた助成金等の「収益計上の時期」に関する課税上の取り扱いについて、
ご紹介させていただきます。
特に、特別利子補給制度に係る利子補助金を取り上げたいと思います。
〇原則的な収益計上時期
原則:法人税法では、所得金額の計算上、
収益は「発生主義及び実現主義」に基づき認識すべきであり、
原則として、収入すべき権利が「確定した日」の属する事業年度の益金(収益)に
計上すべきであると解されています。
そのため、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、
国等から助成金等の交付を受けた場合、
この助成金等は「助成金等の交付が決定された日」の属する
事業年度の収益の額として計上する必要があります。
つまり、交付決定がされた日が、収入すべき権利が確定した時期となり、
この権利が確定した日に属する年度に収益として計上することになります。
具体的には、以下の通りです。
(3月決算法人)
2021年3月(当期)助成金100万円を申請し、2021年5月に90万円の交付決定、
入金があった場合
→2021年5月、交付決定された日に収益計上します。
当期に100万円で未収計上をするのではなく、
交付決定のあった2021年5月(翌期)に「収入すべき権利が確定」するため、
翌期に90万円を収益として助成金を計上します。
要するに、「権利が確定した日」が収益計上する時期になります。
この考え方をベースにして、以下では、
特別利子補給制度(注1)に係る利子補助金についての取り扱いを説明させていただきます。
(注1)新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度とは
当該制度は、新型コロナウイルス感染症の影響により
売上高が減少している事業者の資金繰りを支援することを目的として実施されています。
具体的には、①特別利子補給の対象となる貸付により
借入(新型コロナウイルス感染症特別貸付等)を行った方のうち、
②一定の要件を満たす方に対し、
貸付を受けた日から最長3年間にあたる利子相当額を「一括」(※)で助成する制度です。
つまり、「3年間実質無利子化を目的」として借入期間中一旦負担している金利を、
別途まとめて支給される方式です。
(※)なお、利子補給の方法は上記の「キャッシュバック方式」の他に、
「融資実行段階」から無利子となる「リアルタイム方式」もあり、地域により異なっています。
〇特別利子補給制度に係る利子補助金の収益計上時期
1)結論:交付日ではなく、利息の発生に応じて収益計上する
2)取り扱い:特別利子補給制度(注1)に係る利子補給金の収益計上時期については、
対象となる融資に係る「支払利子の発生した会計期間」に合わせて、
その発生する支払利子相当額を収益の額として計上します。
3)留意点:ここで留意すべき点は、収益計上時期が、
利子補助金として「利子の3年分に相当する金額」の「交付を受けた日」の属する
事業年度ではないということです。
なぜなら、この利子補助金が確定するのは
「金融機関により3年経過後に(A)実際に支払った利子相当額と
(B)先に支給した3年分の利子補助金との精算」により利子補給額が確定したときであり、
「交付を受けた日」にはいまだ当該補助金の収入を受ける権利が確定したとはいえないからです。
また当該補助金の目的が「3年間実質無利子化」としていることを考慮すると、
先に最長3年分の利子相当額の交付をするものの、無利子化するという制度の性質上、
支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定するものと考えられるためです。
4)会計処理:一旦全額を(前受金)として処理、
支払利子の発生に応じて取り崩します(収益に計上)
具体例.3月決算法人)4/1 300,000円の補助金が入金、
決算までに対象となる融資に係る利息が10万円発生
4/1・・・・・ (現預金)300,000/(前受金)300,000
(経過月)・・・(支払利息)100,000/(現預金)100,000
3/31・・・・(前受金)100,000/(雑収入)100,000
最後に、新型コロナウイルスに関する助成金は他にも数多くあり、
個々の助成金等の事実関係によって、収益の計上時期が異なります。
雇用調整助成金の場合は、
交付決定がされていなくとも経費と助成金等との収益が対応するように、
経費発生時期に属する収益として計上するよう取り扱う必要がございます。
詳細は国税庁HP
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm#q4-7)を参照願います。
税理士法人 久保田会計事務所では法人税や所得税等の税務申告だけでなく
相続対策や事業承継のお手伝いや経営コンサルティングを通してお客様の継続と発展を支援致します。
京都で50年間積み重ねた経験が、きっと皆様のお役に立つものと信じております。
地下鉄丸太町駅より徒歩一分、税理士法人 久保田会計事務所に何でも御相談下さい。
お待ちしております。
平日 9:00 ~ 17:30