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海外拠点と国際課税

2021年05月05日

経営財務部

こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。


事業の海外展開をスタートされる企業にとって、

海外の事業所に現地の課税が発生するのかどうか、

どのような状態になれば課税されるのかといった疑問は多いと思います。

今回はこうした課税の原則的な判断基準についてご説明させていただきます。



企業が海外展開をする場合、

一般的にその拠点は子会社、支店、駐在員事務所といった形態が考えられます。

子会社は日本国の法人とは完全に別人格の国外の現地法人となりますので、

現地法人の税制によって課税がされることとなります。

続いて、支店、駐在員事務所の課税についてですが、原則的な判断基準として

「PE(恒久的施設 パーマネント・エスタブリッシュメント)なければ課税なし」

という考え方があります。


具体的なPEの種類と例示は以下の通りです。


・事業を行う一定の場所:事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場、作業場、

天然資源を採取する場所、その他事業を行う一定の場所

・上記以外に長期の建設現場、契約締結代理人、その他(例外的)



この種類と例示に照らしますと、支店も駐在員事務所もPEに該当し

結局は現地で課税されることとなりそうですが、

駐在員事務所については慎重な判断が必要となります。

海外展開をスタートされる当初は駐在員事務所の設置という形態が少なくないと思いますので、

以下この部分について少し詳しくお話しをさせていただきます。



結論から申しあげますと駐在員事務所は一般的には現地で課税されないこととなっています。

実は前述のPE規定の中に「事業を行う一定の場所を持っていても、

そこを通じて行われる活動が、その事業にとって準備的・補完的な活動のみであれば

その場所はPEには該当しない」という例外規定が設けられています。

この準備的・補完的な活動としては、

・商品や在庫の保管、展示、引渡のためだけの場所

・物品や商品を購入することのみを目的として保有する場所

・情報を収集することのみを目的として保有する場所

が例示としてあげられています。

以上から、駐在員事務所は原則現地課税されないこととなりますが、

海外の現地国には現地国なりの細かな定義が存在し、

現地国は常に課税対象となる場所に該当しないかどうかを監視しています。

最終的な判断は個別の事案毎に慎重に判断する必要があると思われます。




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