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在宅勤務手当と通勤手当の課税上の留意点
2021年03月03日
こんにちは、税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
今回は「従業員に、在宅勤務手当や通勤手当を支給する際の税務上の留意点」についてご紹介致します。
昨今、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、
世界中の労働者が在宅勤務を余儀なくされています。
他方で、この変化を好機ととらえ、積極的にリモートワークを導入している企業もございます。
ヤフーや富士通など一部の会社では、オフィスの規模を縮小し、
従業員に対して在宅勤務手当が支給されております。
このように「在宅」で働くか、従業員が「通勤」して勤務地で働くかで、
支給形態が異なる手当が想定されますが、以下の税務上の留意点がございます。
1 【在宅勤務手当】
企業が従業員に在宅勤務手当を支給する場合、実費とは無関係に「渡し切り」で支給するケース、
在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法によるケースでは、課税関係は異なります。
○(渡し切りで支給するケース)→従業員に対する「給与」として課税する必要があります。
1月に公開された国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(全7問)」では
次のように示されています。
『企業が従業員に在宅勤務手当(その金銭を企業に返還する必要がないもの
(例えば、企業が従業員に 対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの)を支給した場合は、
従業員に対する給与として課税する必要がある、と紹介されています。
要するに、精算をせずに、渡し切りで支給する場合は、単なる給与として課税されるので注意が必要です。
○(在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法によるケース)→「給与」として課税されません。
「在宅勤務手当」としてではなく、在宅勤務に通常必要な費用を「精算する方法」により、
従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されません。
具体的には、従業員に「仮払」をした後、
業務のために使用した部分に係る金額を簡便に計算し(注1)、
その金額を会社に報告して精算する方法があります。
詳細につきましては、弊所ブログ(2/17)や国税庁で紹介されていますので割愛させて頂きます。
注1)国税庁https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
2【通勤手当】
通勤手当は、労働の対価として支給されるものではなく、実費弁償的な意味合いがあるため、
一定の非課税限度額が定められています。通勤手当を支給する場合の留意点は以下の点です。
○所得税の非課税限度が、交通手段によって明確に定められています
所得税では、①「交通機関」を利用して通勤している場合、
②マイカーや自転車で通勤している場合で、
通勤手当に係る非課税の限度額は明確に定められており、
一定の限度額(注2)までは「非課税」となっております。
①「交通機関」を利用して通勤している場合
→最高額150,000円まで非課税(但し、グリーン料金は除きます)
②マイカーや自転車
→片道2㎞未満である場合:全額課税
→通勤距離が片道55㎞以上である場合:31,600円まで非課税
このように、所得税では明確に非課税限度額が定められており、
これを超える部分がある場合、その金額が給与として課税されるので注意が必要です。
(注2)法第9条第1項第5号(非課税所得)の規定では、
通勤のため交通機関又は有料の道路を利用し、
その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし、
『最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法』で通勤した場合の金額が定められています。
○在宅勤務時に支給する「通勤手当」は、支給に一定の合理性があれば、非課税となります。
昨今の事情により、企業が原則在宅勤務又は出社回数を減らしたことにより、
通勤手当の支給形態も様々あると考えられます。
①実費精算のケース
→課税関係は生じません。
②原則在宅勤務にも関わらず支給するケース
→給与課税されます。
③出社回数が減少、従来通りの通勤手当支給するケース
→一定の合理性があれば、非課税となります。
要するに、「出社」の回数が減少していたとしても、一定の合理性がある「通勤手当」は非課税となります。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、
企業の福利厚生を充実させる一環として、従業員に対して支給していた「通勤手当」を見直したり、
「在宅勤務手当」を導入することは、従業員、企業側双方にとってメリットがございます。
一方で、企業側は支給する際に、税務上のことに注意を払う必要がございます。
何かご不明な点がございましたら、弊所に御相談下さい。
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