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役員給与の損金不算入について
2019年09月11日
こんにちは財務事業部です。
役員に対する報酬や賞与に関する税務上の取り扱いは、非常に煩雑です。
取り扱いを誤った場合、予期せぬ多額の納税額になるため注意が必要です。
では、役員に対して給与を支給する際、
どのような役員給与が損金の額に算入されるのでしょうか?
法人税法34条①によると、
内国法人(当社)が役員に対して支給する給与の額のうち、
次に掲げる『①定期同額給与、②事前確定届出給与』〔注〕の、
いずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。〔注〕一部例外はあります。
以下では、①定期同額給与、②事前確定届出給与について、
順をおって説明させていただきます。
[1定期同額給与]
法人税法上の定期同額給与とは
(1)その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与であり、
かつ、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
(2)期首から3ヶ月(定時又は臨時株主総会で決議)以内の改定で、
改定の前後の支給額がそれぞれ同額である給与
〔注〕業績悪化改定事由等の例外は除きます
具体的には、次のケースをみていきましょう
例)X社(3月決算)が、取締役Aに対して
毎月末日に①500,000円の役員給与を支給していましたが、
R元年6月25日に開催した定時株主総会において、
②600,000円に決議され、6月末日から支給している。
その後、業績が好調であった為、同年12月10日に臨時株主総会を開催し
増額改定の決議をし、12月末日から③1,000,000円が支給されている。
上記のケースの場合、まず①4~5月(月額500,000円)、
②6~11月(月額600,000円)の役員給与は『定期同額給与』に該当し、
損金の額に算入されます。
しかし、③12~3月の役員給与で増額された金額については
{(1,000,000△600,000)×4ヶ月=1,600,000円}損金の額にすることはできません。
要するに、(定期同額給与)とは、『毎月同額で支給するものであること』と、
理解していただいて結構です。
ここまで定期同額給与について説明してきましたが、
これでは臨時的な役員賞与は損金にならないのでは?という疑問が生じると思います。
次項ではどのような要件を満たせば、
役員賞与を損金にすることができるかについて説明させていただきます。
[2事前確定届出給与に関する届出期限]
臨時的な役員報酬の場合は、
一定の届出通りの額を支給するものであること(事前確定届出給与)が要件になっています。
〔注〕非同族会社は例外規定あり
つまり、届出通りの日に、届出通りの額を支給することが要件になっています。
(1) 原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、
次のイ又はロのうちいずれか早い日までに、届出書を提出する必要があります。
イ 株主総会等の決議によりその定めをした場合における、
その決議をした日から1か月を経過する日
ロ その会計期間開始の日から4か月
(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人は
その指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日
具体的には、3月決算法人で6月25日に株主総会開催した場合は、
つぎの届出期限になります。
イ その決議をした日から1か月を経過する日(7月25日)
ロ その会計期間開始の日から4か月を経過する日(7月31日)
このイ又はロのうちいずれか早い日、つまり7月25日が届出期限となります。
内国法人がこの届出を提出期限までに提出せずに臨時の報酬を出すと、
損金不算入となります。
結論としては、
①毎月同額で支給するものであること(定期同額給与)、
②臨時的な役員報酬の場合は、
一定の届出通りの額を支給するものであること(事前確定届出給与)〔注1〕
以上のいずれかの要件を満たさない給与は、原則的には損金になることはありません。
特に、同族会社の役員の賞与は事前確定届出書の提出を失念していた場合、
損金になることはないので注意が必要です。〔注1〕非同族会社は例外規定あり
[最後に]
長くなりましたが、損金に算入できる①「定期同額給与」②「事前確定届出」の2点でも
記憶に留めて頂けると幸いです。
とはいえ、役員に対する報酬や賞与に関する税務上の取扱いは、非常に煩雑です。
もし判断に迷われたら、税理士への相談を推奨します。
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