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遺留分に関する民法の特例
2019年05月15日
こんにちは経営支援事業部です。
今回は事業承継における遺留分への対策の1つとして
遺留分に関する民法の特例についてお話させて頂きます。
まず、事業承継においては、経営権の安定のため、
現経営者が所有している自社株式を後継者へ集約していくことが求められます。
その際、現経営者の個人財産のほとんどを自社株式が占めている場合、
後継者以外の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性があります。
遺留分とは、相続人のために法律上確保された一定割合の相続財産です。
簡単に言うと、一人の相続人にたくさんの財産を相続させ、
他の相続人が相続する財産が極端に少なくなった場合(一定割合に達しない場合)は、
遺留分の侵害にあたります。
ちなみに遺留分の対象には生前贈与を含みます。
特に中小企業の経営者の場合、
その所有している財産の多くを会社に投入している場合が多く、
この遺留分対策については、しっかり考える必要があります。
また、生前に株式を集約している場合、
遺留分算定のための基礎財産に算入する自社株式の価額は贈与時の価額ではなく、
相続時の価額になります。
つまり、贈与時の株価が1億円でも、その後、後継者が会社の業績を上げ、
相続時の株価が2億円になっていた場合には、
遺留分算定のための基礎財産に算入する
自社株式の価額は1億円ではなく2億円となり、
後継者の貢献により後継者以外の相続人の遺留分の額が増加します。
これにより、後継者の企業価値向上への意欲が阻害されるという問題が生じます。
その対策として、経営承継円滑化法においては、
遺留分に関する民法の特例を規定しています。
具体的には下記の2つです。
①除外合意
後継者を含めた推定相続人全員の合意上で、
自社株式を遺留分算定のための基礎財産から除外する
②固定合意
後継者を含めた推定相続人全員の合意上で、
遺留分算定のための基礎財産に算入する自社株式の価額を合意時の時価に固定する。
この民法の特例を適用する場合には、
いくつかの適用要件はありますが、この民法の特例を適用することにより、
後継者への株式の集約をスムーズに進めることが可能です。
もちろんこの民法の特例を適用しなくても、
他の方法で代用することはできますが、
事業承継において遺留分対策は必須といえるでしょう。
私たち経営支援事業部は
事業承継における様々な問題をサポートさせて頂いております。
どうぞお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
平日 9:00 ~ 17:30