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デット・エクィティー・スワップ(DES)の活用

2018年11月21日

財務事業部

こんにちは、財務事業部です。

今回はデット・エクィティー・スワップ(DES)という取引について

ご説明させていただきます。

中小企業の特徴として、社長やそのご家族など役員からの借入金が

負債として貸借対照表に計上されているケースが少なくありません。

このような役員借入が行われる理由は様々であり、

中には返済が行われるケースもあれば、

中長期的にみても返済が難しいというケースも多く見受けられます。

会社の財務状態を判断するときに重要な指標となるのが自己資本比率ですが、

役員借入の金額が大きいと自己資本比率は低くなり、

単純に考えれば財務状態の評価は低くなります。

ただし、役員からの借入は金融機関借入とは異なり、返済の期限などがありません。

したがってその実質的な性質は借入金と言うより資本金に近いかもしれません。

そのため金融機関の融資審査などでは、

役員借入を資本金とみなす場合もありますので、

役員借入が原因で自己資本比率が低いことが、

必ずしも融資審査にマイナスになるとは限らないようですが、

やはり返済見込みのない借入であれば、

何らかの対応を検討する方が賢明といえます。

また、役員借入はその額面全額が役員の相続財産となるものであり、

万が一のことがあれば相続税の課税対象となります。

役員借入は会社の財務状態だけの問題ではなく、

相続などへも波及する可能性のある問題なのです。

【デット・エクィティー・スワップ(DES)の活用】

このような返済の見込みがない役員借入がある場合の対策の一つに

DESという選択肢があります。

DESとは債権者が債権を現物出資することにより、

会社は債務を消滅させると同時に資本金額を増加させて、

債権者に株式を交付する取引です。

負債が純資産に変わることになるので、

自己資本比率が改善し、財務状態が改善します。

また、役員個人の観点から考えると、

全額が相続財産となる貸付金が株式に変わることで、

株価対策など相続を見据えた選択肢も増えます。

【デット・エクィティー・スワップ(DES)の注意点】

このようにDESは活用の仕方によってはメリットを得られますが、

注意しなければいけない点も多くあります。

例えば他の株主への贈与税の問題です。

DESを行うことで、他の株主が利益を得るようなケースでは

贈与税に注意しなければなりません。

また、相続対策でDESを実行する場合には

「同族会社等の行為又は計算の否認等」による指摘を受けるリスクについて

事前に十分検討しておく必要もあります。

また、DESにより会社の資本金額が増加しますが、

資本金額が1億円を超えれば中小企業税制の適用を受けることができなくなります。

住民税の均等割額の増加にも注意が必要です。

さらに、会社が債務超過の状態にあり、

債権者への返済能力に問題があるような場合では、

その貸付金額には額面通りの価値がないと判断するケースがあります。

このような状況下でDESを行った場合には、

資本金額に組み込まれる金額は貸付金額の時価相当額となり、

額面金額との差額は債務消滅益として法人税の課税対象となる可能性があります。

このように、DESを実行する場合には極めて慎重に

その課税関係を判断する必要があります。

【複数の選択肢を考慮して、最良の選択を】

役員借入への対策として今回はDESをご紹介しましたが、

繰越欠損金がある場合などでは、債務免除を行うという選択肢もあります。

複数の選択肢を天秤にかけ、慎重な検討を重ね、

その会社や役員にとって最良の選択をすることが大切です。

久保田会計事務所では、

企業と人の継続発展を第一にご提案をさせていただいております。

会社の財務状態に不安をお持ちの方は、ぜひ弊所までご相談下さい。

              
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