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所得拡大促進税制の改正について
2018年01月31日
こんにちは財務事業部です。
昨年12月に税制改正大綱が発表されました。
今回は、その中でも所得拡大促進税制の改正についてご説明いたしいます。
[所得拡大促進税制の改正]
所得拡大促進税制については、これまで本ブログでも何度かご紹介して参りました。
改正前の制度の概要は下記記事をご参照下さい。
2014年8月27日 『所得拡大促進税制について』
http://www.kubotax.com/blog/2014/08/post-514.html
2017年4月26日 『所得拡大促進税制の見直しについて』
http://www.kubotax.com/blog/2017/04/post-653.html
簡単に言えば、従業員給与が基準期間と比べて増加していれば、
その増加額のうち1割を税額控除出来るという制度です。
似た制度の雇用促進税制と異なり事前の計画の提出や認定も不要で、
適用される事業者も多く効果の高い税制です。
今回の大綱では、その適用要件や控除額について
2018年4月1日から2021年3月31日までの間に
開始する事業年度を対象に以下の通り改正する内容となっております。
【要件①】
適用年度の雇用者給与等支給額が
基準年度の雇用者給与等支給額の3%以上増加(大法人5%)
⇒ 廃止
【要件②】
適用年度の雇用者給与等支給額 ≧ 適用年度の前の年度の雇用者給与等支給額
⇒ 適用年度の給与等支給額 ≧ 適用年度の前の年度の比較雇用者給与等支給額
【要件③】
適用年度の平均給与等支給額>基準年度の平均給与等支給額
⇒ 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額と比べて1.5%以上増加 (大法人3%)
【要件④(新規、大法人のみ)】
⇒ 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上
【控除額】
給与等支給増加額の10%
⇒ 給与等支給増加額の15%
[改正の概要]
要件①が廃止になり、要件③が改正されることにより、
給与全体の増加割合を中心とした判定ではなく、
平均給与の増加額を中心とした判定によって
適用の可否が判断される制度とする方向です。
また、平均給与等支給額の計算の基礎となる、
継続雇用者についても定義が変更され、
当期と前期の全期間の月において給与等の支給のある者と言うことになり、
途中入社の従業員は計算に含まれないこととなっています。
これまで、人員を増やして給与の総額が増えた場合に
適用できる事例が多かったのですが、
この改正案では継続して雇用している従業員に、
より多くの給与を支払う会社に対して制度を適用するという趣旨になっています。
また、これまで設立1期目はほぼ確実に制度の適用を受けることができましたが、
今回の改正案では設立1期目は適用を受ける事が出来ない制度となっています。
これまでの制度の印象としては、事業を拡大し勢いのある会社を税務の面から
サポートするような内容でしたが、この改正により、
従業員の待遇改善に取り組んだ会社に税制面の優遇をするような制度となりました。
これまで適用出来なかった会社でも適用出来る場合がでてくるかと思います。
申告しなければ制度は適用されませんので、
従業員の平均給与に注意が必要です。
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