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国外転出時課税

2016年03月30日

相続事業部

こんにちは、相続支援事業部です。

昨年、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」及び

「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」

(これらを総称し「国外転出時課税制度」といいます)が創設されました。

今後、2回に渡って「国外転出時課税制度」について解説したいと思います。

今回はその第2回目「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の

譲渡所得等の特例」についてお届けします。

「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」には

非居住者へ対象資産を贈与した場合(国外転出(贈与)時課税)と

非居住者が相続又は遺贈により対象資産を取得した場合

(国外転出(相続)時課税)があります。

(非居住者へ対象資産を贈与した場合)

贈与の時において1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者が

国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の全部又は一部を贈与した場合には、

その贈与の時に、贈与者が贈与対象資産を譲渡したものとみなして、

贈与対象資産の含み益に所得税が課税されます。

(申告と納税手続)

贈与者は、贈与をした年分の確定申告期限まで(贈与した年の翌年3月15日)に、

贈与の時の価額で贈与対象資産の譲渡等があったものとみなして、

その年の各種所得に国外転出(贈与)時課税の適用による所得を含めて

所得税の確定申告書の提出及び納税をする必要があります。

また、納税猶予の特例の適用を受ける場合は、確定申告期限までに、

納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要があります。

納税猶予期間中は、贈与者は、受贈者(非居住者)が

各年12月31日において所有等している適用贈与資産について、

適用贈与資産の種類、名称、銘柄別の数量などを記載した「継続適用届出書」を

各年12月31日の翌年3月15日までに所轄税務署に提出する必要があります。

国外転出(贈与)時課税の対象となる贈与者が、

納税猶予の特例の適用を受ける場合には納税管理人の届出は必要ありません。

ただし、その贈与者が納税猶予期間中に国外転出をする場合は、

国外転出の時までに納税管理人の届出をする必要があります。

(非居住者が相続又は遺贈により対象資産を取得した場合)

相続開始の時において1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者から、

国外に居住する相続人等が相続又は遺贈により、

対象資産の全部又は一部を取得した場合にはその相続開始の時に、

適用被相続人等が相続対象資産を譲渡等したものとみなして、

相続対象資産の含み益に所得税が課税されます。

(申告と納税手続)

相続人は、相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、

相続開始の時の価額で相続対象資産の譲渡等があったものとみなして、

その年の各種所得に国外転出(相続)時課税の適用による所得を含めて、

適用被相続人等に係る所得税の準確定申告書の提出及び納税をする必要があります。

また、納税猶予の特例の適用を受ける場合は、確定申告期限までに、

納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供し、かつ、

相続対象資産を取得した非居住者である相続人等の全員が、

原則として連署による一の書面で納税管理人の届出をする必要があります。

納税猶予期間中は、相続人は、非居住者である相続人等が

各年12月31日において所有等している適用相続資産について、

適用相続資産の種類、名称、銘柄別の数量などを記載した「継続適用届出書」を

各年12月31日の翌年3月15日までに所轄税務署に提出する必要があります。

(注意点)

上記、国外転出(贈与)時課税、国外転出(相続)時課税のいずれにおいても

納税猶予の適用を受けることが出来ます。

ただし、納税猶予期間中に

非居住者が帰国した場合、

非居住者が贈与又は相続・遺贈で取得した財産を実際に譲渡・決済等をした場合、

など一定の事由に該当する場合には、

納税猶予税額を納付又は国外転出時課税制度による課税を取消し

(更正の請求)の対象となります。

確定申告のみならず、その後の財産と非居住者の動きにも注意が必要となります。

1億円以上の有価証券等を所有している方、

またそのご家族で国外に居住する方がいる場合には

財産を国外に移動する(転出する)ことについて、

手続き等が非常に煩雑になっていますので該当する方はご相談下さい。

              
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