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遺言いろは第12回
2012年12月26日
Q.遺留分減殺請求への対処は?
「遺留分」と遺留分減殺請求に考慮した遺言の書き方について
教えてください。
A.対象相続人の不満解消がより大切
遺留分とは、法定相続人のうち、配偶者、子、孫、親、祖父母などに
対して最低限保障されている遺産の比率のことです。それを
侵害している遺言であっても、遺留分減殺請求されない限り、
有効性に問題はありません。
遺留分減殺請求は、法定相続人が遺贈された人に最低保障
されている相続分の返還を請求できる権利で、法律に基づく
権利行使です。それを阻止することは誰にもできませんが、次善の
方法として次のように対処しておきましょう。
一、遺言で遺留分減殺順序を指定しておく
例えば、遺言で減殺順序の指定がある場合、その順序で遺留分が
減殺されることになります。
具体例を挙げましょう。金融資産と自宅が相続対象財産である場合、
息子夫婦と同居しているので自宅だけはどうしても息子に
相続させたいと考える親がいます。この場合、減殺順序を
金融資産から先に指定しておくと効果的です。
二、遺留分を減殺請求しそうな相続人に対して、遺言でその
遺留分相当割合(%)を相続させることを当初から遺言しておく
例えば、どうしても減殺請求をすることが予想される相続人が
いる場合、遺留分相当の相続割合を遺言で相続させておくことで、
その相続人は減殺請求ができなくなります。
三、遺留分の放棄を生前にその相続人にさせておく
詳細は家庭裁判所にお問い合わせ下さい。
しかし、最も大切なことは、減殺請求をするかもしれない相続人の
不平や不満をゆっくり聞き出し、少しでも解消する努力を一緒に
していくことではないでしょうか。
生前に財産を贈与したり、遺言で特定の相続人に財産の相続方法を
指定することも大切です。しかし、減殺請求をするに至った相続人の
心の中に蓄積されている負の心を遺言者はもっと考えなければ
なりません。旅立つ前に負の心を氷解させることは、この世への
素晴らしい置き土産だと思います。
□遺留分減殺順序指定の遺言記載例
●第○条
遺言者の長男○○から遺留分減殺請求があり、それを支払うべき
ときは、その減殺順序は次の指定した順序とし、遺留分相当額を
満たす額まで支払うものとあらかじめ指定します
●第○条(遺留分減殺順序)
(1)(2)(3)(4)の相続財産を(3)・(4)・(2)・(1)の順で減殺を行う
(京都新聞 平成24年9月30日(日)朝刊暮らし面掲載記事)
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