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遺言いろは第11回
2012年12月19日
Q.保管は?効力発生の妙案は?
遺言書はどう保管しておいたらいいでしょうか。あまり人に
知られずに、しかもきちんと効力を発するような妙案を教えてください。
A.遺言書を封印、信頼できる執行者へ
遺言書を作成したことを秘密にして、誰にも見つからない場所に
大切に保管していたあなたが亡くなった。そして家族が遺言書を
発見できなかったとします。この場合どんなことが起こるのか、
考えてみましょう。
「遺言書があるはずなのに...」。相続人の一人はそう気にしつつも、
故人の遺産分割方法について相続人全員による協議を行います。
そして、遺産分割協議書が作成された後に、協議した内容と
異なる遺言書が発見されました。
この場合、遺言と異なる協議内容は原則無効となり、協議書作成後に
発見された「遺言書の内容に従う」ことになります。遺言には
消滅時効がなく、遺言は法的相続分に優先するからです。
例えば、相続人の一人から「遺言書があることが分かっていたら、
遺産分割協議には応じなかった...」と、錯誤により協議に応じたとして
協議内容の無効を主張された場合は、相続人全員で遺言書の
内容に従った遺産分割を再度やり直すことになってしまいます。
ただし、相続人全員が発見された遺言書を確認後、それでも遺言と
異なる遺産の分割内容に合意する場合は、あらためて遺産分割協議を
行う必要はありません。
この場合でも、遺言書の内容に相続人以外の第三者への遺贈が
あるなら、遺言書に従って遺産の分割を行わなければなりません。
このように遺言書の保管方法と発見の遅れによる相続人間の
混乱を起こさせないために最善の方法は、遺言書を封筒に入れ、
封印、封入日を自筆して遺言執行者に渡しておくことです。
遺言執行者は遺言者が亡くなればその遺言の実現を図らなければ
ならない立場の人であり、信頼の置ける人であるはずです。
「私が亡くなったらこれを開封して下さい」という言葉を添えて、
遺言書を信頼した執行者に託すことをお勧めします。
◆◇◇自筆証書遺言の利点と欠点◇◇◆
□利点
・費用がかからない
・いつでもどこでも簡単に作成できる
・立会人が不要で、内容を秘密にできる
□欠点
・日付や署名の不備、押印漏れがあれば、無効の可能性がある
・破棄や偽造、変造されやすい
・発見されなかったり、隠される恐れがある
・家庭裁判所の検認手続が必要で、手間と時間がかかる
・本人の筆跡かどうかの争いが起こりやすい
(京都新聞 平成24年9月23日(日)朝刊暮らし面掲載記事)
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