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遺言いろは第10回目

2012年12月12日

Q.予備的遺言とは何ですか

 「予備的遺言」というものが効力を発揮すると聞きました。

どのようなものか教えてください。

 

A.相続人が先に死亡した場合を想定

 遺言で相続させたい相続人が、遺言者より先に死亡してしまったら、

相続されるべき財産は一体誰が相続することになるのでしょうか。

この場合は、死亡した受遺者の相続人に引き継がれて

相続(代襲相続)されるのではなく、初めから遺言はなかったものと

されて、その財産は法定相続人全員で話し合いの上、分割協議

されることになります。

 そこで、あらかじめ遺言者より以前に死亡した場合を想定して、

予備的に次の相続させる者を指定しておくことを「予備的遺言」と

言います。「遺言者より以前に死亡していた場合はその財産は

代わりに○○に相続させる」といったような予備の遺言を同じ遺言書の

中に同時にしておくのです。

 例えば、あらかじめ予備的遺言をしておけば、遺言者と相続人が

飛行機事故などで同時に死亡した場合にも効力を発揮します。

 また、子どものいない夫婦がお互いに遺言で相手配偶者に

全てを相続させる遺言をしておく場合でも、「遺言者が死亡の時に

おいて、財産一切を妻に相続させる。ただし、妻が遺言者より以前に

亡くなっていた場合は、財産一切を遺言者の兄○○に相続させる」という

内容の予備的遺言を合わせて遺言しておけば、夫婦のどちらか一方が

亡くなった後に、あらためて新しい遺言を書かなくても、同じ遺言で

二つの効力が得られます。

 このように予備的遺言はいろいろな使い方があります。遺言を

書くときには、想像力を働かせて相続させる相手の年齢をよく考え、

予備的遺言を上手に使った遺言をしておくことをお勧めします。

また遺言執行者や祭祀承継者を指定する場合にも予備的遺言が

有効です。

 

 

◇夫の「予備的遺言」記載例

第○条

遺言者は死亡の時において不動産、金融資産を含むその他一切の

財産を 妻 花子(昭和4年5月6日生)に相続させます。

ただし妻 花子が遺言者より以前に亡くなっていた時は、遺言者の

兄 相続次郎(昭和2年3月4日生)に相続させるものとします。

 

 

(京都新聞 平成24年9月16日(日)朝刊暮らし面掲載記事)

 

              
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