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遺言いろは第9回目

2012年11月07日

Q.遺言執行者ってどんな人?

 「遺言執行者」とはどんな役割の人を指すのですか。選んでおいた方が

いいのでしょうか。

 

A.手続き簡素に、相続人の争いも回避

 遺言は相続人の間でお互いに利益が相反する内容の場合が

多いものです。特に法定相続人以外の第三者への遺贈が遺言の

中に書かれていると、実際に遺言を実現する相続手続の際、

相続人の利害が交錯して全員の協力が得られないことがあります。

 この場合を想定して、遺言を執行する立場の「遺言執行者」を

指定しておけば、遺言に書かれている遺贈の執行を、その執行者が

単独で速やかに実現させていくことができます。遺言執行者とは、

遺言の内容を執行するために選任された人のことです。

 例えば、息子の嫁(第三者)に自宅不動産を遺贈する遺言がある

場合の、登記に必要な書類を例に考えてみましょう。

 遺言執行者が指定されていない場合、自宅を遺贈される嫁は、

登記申請に必要な添付書類として法定相続人全員に、それぞれの

戸籍謄本や印鑑証明書などを取得してもらうよう依頼しなければ

なりません。

 言い換えれば、第三者に遺贈する場合は、相続人全員の

相続手続きに対する協力が得られなければ、遺言を実現して

遺贈者(第三者)名義にすることはできないのです。

 一方、遺言執行者が選任されていれば、登記義務者は

遺言執行者となるので、遺言執行者の印鑑証明書があれば

相続登記ができます(必要な書類はケースにより異なります。

司法書士などに確認してください)。 このほか遺言執行者を

指定した方が良い場合は表の通りです。遺言で遺言執行者を

指定しておくことは、相続手続きに関わる関係者が少ないだけでなく、

相続人同士の争いを避けることもできます。遺言は、必ず喜ぶ人と

喜ばない人をつくります。家族や相続人同士が遺言に関して少しでも

もめないように配意しておくことは遺言する人の努めです。

 

 

◆遺言執行者の指定が望ましい場合

○相続人が二人以上いる

○子どもがいない

○離婚・再婚などで家族関係・相続人関係が複雑になっている

○相続人以外の人に遺言で財産を分与しようとする

○相続人同士のお互いの利益が相反するような内容の遺言をする

○父・母の異なる子がいる

○相続人同士の仲が良くない

○事業承継を考えている

○障害がある相続人がいる

○認知症の相続人がいる

○海外居住の相続人がいる

○住所不明・音信不通の相続人がいる

 

(京都新聞 平成24年9月9日(日)朝刊暮らし面掲載記事)

 

              
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