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平成24年度の退職所得課税の改正について
2012年06月20日
(退職所得課税の原則)
こんにちは財務事業部です。
前回に引き続き所得税のお話をしたいと思います。
今回のテーマは退職所得です。
退職所得は、他の所得と比べ税法上非常に優遇されています。
具体的な計算方法は下記の式で計算された退職所得金額に
税率を乗じる方法です。
(退職金等の金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得金額
計算の最後に1/2を乗じているため、税額は大幅に
抑えられることとなります。
この優遇は、退職金等が過去の賃金の後払い的性質が
あることや老後の生活の蓄えの為の配慮といわれています。
(退職所得金額の計算の改正)
しかし、近年この制度を利用して短期間在職の役員に
対する給与を減らし、その代わりに退職金に上乗せする
ことで税金を繰り延べようとする行為が見られました。
そのため平成24年の改正により、勤続年数5年以内の
法人役員等の退職所得については下記の式により
計算することとなりました。
退職金等の金額-退職所得控除額=退職所得金額
改正により1/2を乗じる事ができなくなり、改正前と比較して
改正後は単純に倍の金額に税金が課されます。
また、所得税は金額が高いほど税率が上がるので税額は
倍以上になることもあります。
(住民税の改正)
さらに住民税についても改正がありました。
退職金にかかる住民税は、退職所得金額に税率を乗じた
金額にさらに0.9を乗じる方法で税額を計算されます。
最後に0.9を乗じるのは、他の所得と比べて早期に徴収される
事により生じるはずであった運用益分を考慮したものと
されています。
しかし近年の金利情勢をふまえ、平成25年1月1日以後に
支払を受けるべき退職金については0.9を乗じる計算が
廃止となりました。
これは役員、一般職員の違いに関係なく全ての退職所得者に
適用があります。
(勤続年数4年、退職金3,000万円の場合)
では、この2つの改正により、税額にどれくらい影響があるのでしょうか。
例えば、勤続年数4年の役員さんに退職金3,000万円を支給した
場合の税額は以下のようになります。
《改正前》
退職所得金額: (3,000万円-160万円)×1/2=1,420万円
所得税 : 1,420万円×33%-153.6万円=315万円
住民税 : 1,420万円×10%×0.9=127.8万円
合計 : 442.8万円
《改正後》
退職所得金額: 3,000万円-160万円=2,840万円
所得税 : 2,840万円×40%-279.6万円=856.4万円
住民税 : 2,840万円×10%=284万円
合計 : 1,140.4万円
このように、税額は2.5倍、金額にして700万円近くも差が
出ることになり、改正後は退職金の3分の1以上に相当する
税金を支払う結果となりました。
この改正は、平成25年度の所得税及び平成26年度の
個人住民税から適用となります。
住民税の0.9を乗じる計算方法の廃止については全ての人に
適用がありますが、退職所得金額の1/2を乗じる計算方法の
改正については、役員以外の方と勤続年数が5年を超える
役員の方には適用されません。
役員で平成25年以後に退職を予定されている方については、
勤続年数をご確認下さい。
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