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おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十一話~

2010年06月05日

今回の  おにぎり屋たんと【事業拡大編】  第51話。

 

初めてご覧いただく方は

是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。

 

今回は、変動費と売上の関係について学んでいきましょう。

++++++++++++++++++++

『そうそう、小町さんの仰るとおりです。

固定費の削減では減らすのに成功した分しか

利益として反映しませんが、変動費の削減では

固定費を減らすのに成功した分以上の利益が

場合によっては見込めるということなんです。

だんだんのみこみが早くなってこられて嬉しい限りですよ。』

 

教え甲斐があっていいでしょう、などと軽口を叩いたが

気になるフレーズがあったのでついでに質問をしてみることにした。

 

「さっき海苔巻さんは、成功した分以上の利益が

『場合によっては』見込める、と仰いましたが

どういうことなんですか?」

 

『これはこれは・・・本当に教え甲斐のある生徒さんですね。』

 

どこか嬉しそうな様子で海苔巻さんが口を開く。

 

『つまりですね、変動費の削減の場合は

売れなければ意味が無いんですよ。

売れ行きが良くて売上が伸びればその分どんどんと

利益は削減成功分の+αを加えた状態で増していきます。

しかし、例えば梅雨の時期などで

お店に直接来店されるお客さまが減ってしまったとしましょう。

すると、いくら経費を削減したと言っても

利益への貢献度合いは低いままということになりますよね。』

 

「・・・ああ、それで『場合によっては』と仰ったんですね。」

 

なるほど、と納得する。

 

『はい。ちなみに・・・。この図式をさらに分解するとですね・・・。』

 

そう言うと、海苔巻さんが新たに何かを書き加えていき。
次の様な式を目にすることになった。

──────────────────────────────────────────


【おにぎり価格に対して2%のコストダウン成功=

                                    おにぎりの年間売上×2%の利益貢献】

                  ↓

【おにぎり価格に対して2%のコストダウン成功=
             (おにぎり単価×おにぎり年間販売個数)×2%の利益貢献】

     ※注意→%の数値は変動します。
──────────────────────────────────────────

「・・ええと・・?おにぎりの年間売上の所を

さらに詳しく書かれたんですか?」

 

『はい、そうなんです。このように売上を構成する

1つ1つの要素を明確にして理解することで

今現在、売上や利益をあげる為に自分が出来ることは何か

ということが考えやすいのではないかと思いまして。』

 

「・・と、いうと・・?」

 

『少し説明が漠然としてしまいましたか。

つまりですね、簡単に言えばこの図で表している通り年間売上は

(おにぎり単価×年間販売個数)で計上される訳ですよね。』

 

「あ、そうか!わかりました。ということは・・・・

売上を伸ばして利益をUPさせたいと考えるならその2つの要素の

どちらか、もしくは両方について出来ることを考えたり

見直したりすることが重要ということですよね!』

 

どうです?と相手を窺えば。

良くできましたとばかりににっこりと笑みを浮かべた「海苔巻先生」の姿が

そこにあって、なんだか嬉しくなる。

 

『はい、その通りですよ。

ちなみに、ここでは2%のコストダウンに成功した場合を

例として式を書いていますが、おにぎりの単価を上げたり、

下げたりすることで当然この利益貢献の率というものも

変わってきますのでご注意くださいね。』

 

「あ、そうか。そこは変動費の引き下げ率ですものね。」

 

おにぎりの価格に対して何%下げられたか?と考えるのだから

変動して当たり前である。

けれど、自分で自分のうっかりさ加減を自覚しているので

この補足は有り難かった。

(後で、あのメモを貰えないか聞いてみよう。)

 

気をつけます、と頷きながら密かに海苔巻メモを狙う私なのであった。

 

第52話へ続く。
 

税理士法人 久保田会計事務所

              
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