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緊急保証制度と経営改善計画 ②
2009年06月22日
先週の続きです。
昨年10月に実施された緊急保証制度により、
利用された企業では一時的に資金に余裕ができているところが多い、
と書かせて頂きました。
ただ、新型インフルエンザなど、相次ぐマイナス要因で、
中小企業の経営環境はまだまだ改善されていないので、
その余裕資金もドンドン少なくなってきているところも多くなってきました。
経営者が日繰りの資金繰りに追われ、
金策に走らなければならなくなると、
じっくりと自社のビジネスモデルを見直したり、
利益率の改善のため赤字受注を断るなどの対策はとれなくなります。
まさしく、緊急保証制度により資金に少し余裕ができた今こそ、
自社の継続的な「あんしん経営」を図ることが重要です。
昨年11月に金融庁は、
中小企業の資金繰り支援のため「金融検査マニュアル」
別冊[中小企業融資編]を改定しました。
この金融検査マニュアルというのは、
不良債権比率など金融機関の財務状況を金融庁が検査し、
その金融機関の健全性を確認するための基準であり、
全ての金融機関がこのマニュアルに沿って
融資先の格付けを行っているものです。
金融機関では、融資先の格付けに従って、貸出金に対して設定する
貸倒リスクの費用を計上しています。いわゆる貸倒引当金です。
貸出金1000万円に対して貸倒の危険率が1%だとすると、
10万円を費用に計上します。
危険率が10%になると100万円を費用に計上する訳です。
10%も費用に計上しなければならなくなると、
3%程度の金利をもらっていても、赤字になってしまうわけです。
そして、赤字になるような融資先が多くなると、
つまり不良債権の比率が多くなると、
金融庁から業務改善命令をだされて、
いずれは業務停止や合併などに追い込まれ、
金融機関が先に破綻してしまうことになります。
長くなりましたが、この融資先の格付けは、金融機関の先行きを決定する
大変重用な作業であることはご理解いただけたでしょうか。
昨年11月の改定は、あえて簡単にいうと、
「しっかりした経営改善計画を作成している中小企業の格付けは
一段階甘くしても良い。」という内容です。
そうすることで、金融機関のリスク費用(貸倒引当金)を少なくできるので、
中小企業への融資がしやすくなります。
従来は、一度借りた借入金について、元金や金利の返済を
猶予してもらったり、返済期限を遅らせたりすると、
融資格付けが一段階も二段階も下がってしまい、
金融機関にとっては大きな負担になっていました。
これが、「経営改善計画」を作成することにより、返済を猶予したり
期限を延長したりしても、格付けが下がらなくなるので、
今まで通り、引き続き中小企業に対して新規融資も
続けることができるようになった訳です。
ですから、今こそ、「経営改善計画」をしっかり作成して、
融資条件の変更などを金融機関と話し合う絶好のチャンスです。
宣伝になって申し訳ないですが、
当事務所ではかなりの数の「経営改善計画」を作成し、
金融機関にも認めてもらった実績があります。
また、どの程度返済条件を変更すればうまく行くのか、
数年後までの自社の資金繰りはどうかなど、
その目安をたてて頂くために「将軍の日」と題した
経営計画作成セミナーを毎月開催しています。
是非、お気軽にお問い合わせ下さいますよう、お願い致します。
税理士法人 久保田会計事務所
税理士 久保田博之
平日 9:00 ~ 17:30